野崎兄弟のThousand Leaves(あかねいろ Thousand Leaves!番外編)
なんとか一ヶ所だけオープンしてる海岸があった。


湿った風が、何もかもすっ飛ばそうとする。



空は低くて、絶好調に波が高い。


よっしゃよっしゃ。


「ヨクないネー…」

「ええ?サイコーじゃん!」

「ユート、いつもスタンドプレーね。ワタシの声、ミミでチャンとキイテよ?」

「はーい」


オレはせっかちだって。

体重の移動が早すぎるって。


だから、いつもブレイクの「ユート、…ゴー!」を聞いておかないといけない。

チョイチョイ忘れるけどね。


「はよ、行こー」

「行くぜー!」


波がオレを待っている!!


沖に出ると、もう3メートルなんて目じゃねーわ。

これヨユーで…おおっとぉ。


あ、トラレタ。

ちっくしょー!


「アツくナラナーイ!」


分かってるよ!


「次の…」


ウソ!

すっげえのが来た!


これは、ぜってーオレんだ!


「ユート、…」


テイクオフ!






ドオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!








目の前が無くなった。

世界が裂けた。


体にデカイ蛇が入り込んだ。


そのまま、海に引きずりこまれていった。

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