野崎兄弟のThousand Leaves(あかねいろ Thousand Leaves!番外編)
何してもアタマから、あの波が離れない。

あれは俺オレの波だった。


あちこちの海に出かけて、あの波を探し回った。


ーユート、…ー


あの言葉の先を探してる。



でもナイ。


ナイんだよなー。


サーファー仲間とつるんでると、ケイの話もたくさん出る。


なんだよー。

ダチいねぇとか言っといて。

いっぱいいるじゃんよ。




高校からまた呼び出し掛かってるし。

あと、どんくらいゴマかせっかな。


少なくとも、アレが高校にあるはずがないからな。



「うやあああああああああああああん!」

赤ん坊の泣き声がした。


オンナノコ…



目の前が無くなる。

世界が割れる。

体にデカイヘビが入り込む。

海に引きずりこまれてく。



オレのせいだ。


母ちゃんのために、たまに高校に行ってみる。

いろんな奴らが話しかけてくる。


だけど、いつのまにか考えてる。

オレの波と、「ユート、…」の先を。


ここには、ナイ。

こんなネギ畑の真ん中に、あるはずねぇ。
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