野崎兄弟のThousand Leaves(あかねいろ Thousand Leaves!番外編)
オヤジさんがまたオレに向き直った。


すっげぇ…カッコいい…


だけど、


あ…

え…


ど、


言葉が思い浮かばない。



この人ヤバイ。


なんだ、この人。



漁師のオッサンたちに囲まれた時も

兄ちゃんのカノジョに「ずっとずっと好きだったのぉぉぉ」と迫られた時も

マジで怖かった。


だけど、レベルが違う。


オレのこと、見すかしてる。

ぜんぜんスキがない。


冷汗が出た。



「あ、ああの!」


ヤケクソで叫んだ。


「ムスメさんは好きな人いるんですか!」


なんでだよ~~~~!!

なんでそんなことオヤジに聞くんだよ~~~!!


だって、この人ごまかしが効かねーんだもん!!

しょーがねーじゃん!!



「ここじゃなくて、八千代台に住んでる」



へ?



「やめといたら?」


ガラス戸がきしんで、嫌な音を立てた。


「あの子、死ぬかもよ」


薄暗い店の奥に、親父さんは消えてった。
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