野崎兄弟のThousand Leaves(あかねいろ Thousand Leaves!番外編)
「ちょちょちょ…!」


海に向かって歩いた。



「待って!どーした!止めろって!」



思いっきり徹を突き飛ばした。



「…っだぁ!いってぇー!」



まだ総史にやられた傷が痛む。


体中が、痛む。


また徹が絡みついてきた。


ケリを入れた。



「バッ…なんだよ!どこ行くんだよ!」


ボード持ってんだから、決まってる。



「止めろって!失恋くらいでなんだよ!…いっっってぇぇ!コイツ、マジでイカれてる!」


もう海だ。


「もしもし!?そこ何人いる!?すぐ来て!ギャングのグラフィティーあるとこ!ユートがマジ狂った!早くっ!」


足に波がかかった。


冷たさなんか…すっげぇ冷たい。


それでもいい。


カラダに冷たさが張りついた。


「うっ…うわっ…うわ!ユート!マジで止めろ!」


意味ない。


「オマエ、いっくらでもオンナなんかできるって!」


意味ない。


「天才なんだよ!みんなオマエにあこがれてんだよ!」


意味ない。


たくさんの水音がした。


「ヤバイ!うわ!ヤバイ!」

「おっせーよっ!」



もう、

丘に帰る意味なんてない。


なんも

意味なんてない。
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