ハラドキ・デスゲーム
「んー、君さ…
勝たないと死んじゃうって分かってる?
これは夢やテレビに映ってる番組じゃない
真剣な殺し合いだ
殺らないと、自分が死んじゃうんだよ?」
「分かっているけど、人を殺すなんて…っ!
この場から逃げ出せなくても……
人を殺さずに生きる方法はいくらでもあるじゃないか!!」
男は、ハハッと笑うと
また俺に近づいて俺の首を片手で絞めてきた
俺は抵抗したが、男は強い力で俺の首を離そうとしなかった
「ぐっ…」
「生きる方法?
そんなのあったら、みんな殺人なんて犯してないよ
まず、君がそれを俺らに言ったところで
みんな、それを聞いてくれるかなー?
自分だけは生き残りたい
他のヤツなんてどうでもいい
そんな奴等ばかりだよ?
自分のことしか頭にない
聞いてくれたとしても…
最後には裏切られる
分かってるのかなー?
これは、一人しか生き残れないんだよー?
君の人生、裏切られておしまいさ」
男はへらへらと笑いながら
俺の首を絞めている力を緩めない
「俺が今、楽にしてあげようか?
人の醜さや、悲しみを見ないうちに…
死なせてあげようか?」
「…っ…うぐ」
男は空いた手に拳銃を持っていて
俺の頭に、その拳銃を突きつけてきた
「純粋なままで死ねるんだよ〜?
俺に感謝してね〜?」
そう言って男は、ニコッと笑うと
引き金に指を入れた
俺は死ぬ…と直感して
目を閉じた
「……………?」
だが、いつまで経っても銃声の音がせず
俺は恐る恐る、ゆっくりと目を開けた
「は?なんでだよ…!?
あーあ、もう分かったって!!」
「がは…っ」
男は自分の耳に手を当てて、独り言を言ったあと俺を睨んで…
俺の首を絞めている手を離し、俺はその場に座り込んだ
「今回は見逃してあげるよ
精々、他の奴等の醜さを見て
今死んでおけば良かったと後悔しとけ!」
「…っ…はぁ…ごほごほ…っ」
俺は息を整えながらも
目の前にいる男を見上げた
「パートナーつけたら、殺してあげる♡
じゃあね〜、有紗くーん」
男はニコニコ笑って俺に手を振ると
鼻歌を歌いながら、暗い通路を歩いて行った