腹黒王子と秘密の契約
『誰かって…ユアンさん、じゃないんですか?』
『いや、そういうことじゃなくて…』
不思議そうに自分を見つめるリリーに、ユアンはどう答えればいいのかわからなかった。
なんとなく、リリーにはギルト王国の国王だということは知られたくない。
もし気づかれてしまったら、こんなふうに気安く会話することもできなくなるかもしれない。
『ユアン…』
『え?』
『ユアン、と呼んでくれ。
年だって、きっとたいして変わらないだろ?』
ユアン自身も、どうしてそんなことを言ったのかはわからなかった。
昨日に続いて今日会えたのも偶然で、もう二度と会うこともないかもしれない。
それでもリリーにはそう呼んでほしい、そう思ったのは確かだ。
『あ、はい。…わかりました』
『敬語も不要だ』
『う、うん。
じゃあ…ユアンもわたしのこと、リリーって呼んでね!』
『ああ、わかった…』
身内以外に名前を呼び捨てにされることは、もしかしたらはじめてかもしれない。
なんだか少し気恥ずかしいけれど、リリーと話していると荒んだ心が癒されるような気がする。
それがなぜかはまだわからなかった。
『いや、そういうことじゃなくて…』
不思議そうに自分を見つめるリリーに、ユアンはどう答えればいいのかわからなかった。
なんとなく、リリーにはギルト王国の国王だということは知られたくない。
もし気づかれてしまったら、こんなふうに気安く会話することもできなくなるかもしれない。
『ユアン…』
『え?』
『ユアン、と呼んでくれ。
年だって、きっとたいして変わらないだろ?』
ユアン自身も、どうしてそんなことを言ったのかはわからなかった。
昨日に続いて今日会えたのも偶然で、もう二度と会うこともないかもしれない。
それでもリリーにはそう呼んでほしい、そう思ったのは確かだ。
『あ、はい。…わかりました』
『敬語も不要だ』
『う、うん。
じゃあ…ユアンもわたしのこと、リリーって呼んでね!』
『ああ、わかった…』
身内以外に名前を呼び捨てにされることは、もしかしたらはじめてかもしれない。
なんだか少し気恥ずかしいけれど、リリーと話していると荒んだ心が癒されるような気がする。
それがなぜかはまだわからなかった。