腹黒王子と秘密の契約
「それに、パレードって…」

パレードの準備があるという話が聞こえたけれど、ユアンの仕事と関係があるのだろうか。

ユアンという名前も、やはりどこかで聞いたことがあるような気がしてならない。

今度聞く機会がもしあれば、ユアンに直接聞いてみればいい、リリーはそう思った。

ユアン達の姿も見えなくなると、リリーは今の自分の置かれている状況を思い出し、室内へと戻る。

あれからさらに、かなりの時間が経っているけれど、メイドはいまだ戻ってこない。

こんなに時間がかかっているということが、どういうことか。

絶望的な結果が待っているような気がして、不安が募る。

それでも、もしかしたらという少しの希望を持って、リリーが沈みかけていた気持ちを奮い立たせようとした時だ。

規則正しく扉をノックした後、部屋へと入ってきたメイドの言葉を聞き、リリーはがっくりと肩を落とすのだった。



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