腹黒王子と秘密の契約
リリーの食べたケーキの感想から、アランはそれがどんなケーキだったのかを推理する。

「なるほどな。
それ、洋酒かなんかがたっぷり入ってたんだよ」

「え、洋酒?」

「ヘレンさんがマーカスさんのために焼いたケーキだろ?
マーカスさん…あの人かなりの酒好きだし、強いし、かなり入ってたんだよ、アルコールが」

そう言って、はぁっとため息を吐くアランをリリーはぼんやりと眺めた。

そう言われてみると、確かに洋酒の味がかなりしたかもしれない、と思い出す。

「だからかな。
さっきから顔がポカポカするし、からだもふわふわすると思ってたんだ〜」

「…ヘレンさんもすっかり忘れてたな。
リリーが酒めちゃめちゃ弱いってこと」

洋酒が入っていたケーキを食べて、リリーはいい感じにほろ酔いになっている。

「ほら、帰るぞ。酔っ払い」

「そんなに酔ってないよ。
洋酒入りのケーキを食べたくらいで」

「そんなフラフラ歩いててよく言うな。
ほら行くぞ」

リリーの手をしっかり掴むと、アランはさっさと歩き出す。
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