腹黒王子と秘密の契約
「ねぇ、リリー!
今クリフォード王子こっちを見てなかったかしら!?
私達に気づいてくれたのかもしれないわ!
はぁ…やっぱり素敵ね…」

「…う、うん」

隣に立つクレアは興奮気味にリリーの腕を引っ張ると、たった今通り過ぎたクリフォードを乗せたオープンカーをうっとりと見送る。

しかしリリーはかろうじて頷くことがせいいっぱいで、クリフォードに見とれる余裕などない状態だった。

城からの帰り道、王都の大通りへと来たリリーがあまりの人の多さに驚いていた時、同じくパレードを見に来ていたクレアからの着信で呼び出されたリリーは今、最前列の特別席からパレードを鑑賞することができている。

近衛騎馬隊の颯爽とした行進から始まり、ニコラス国王とセリーナ王妃を乗せたオープンカーが現れると沿道から歓声が上がる。

そしてクリフォード達を乗せたオープンカーが近づくと、更に熱を帯びるような大歓声が沸き起こっていた。

そのあまりの人気ぶりにも驚いたけれど、リリーが驚愕したのはクリフォードの隣にいるユアンの姿だ。
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