腹黒王子と秘密の契約
「あのっ、もしかして…私の落とし物が見つかったんでしょうか!?」
城の関係者が自分に用があると訪ねて来る理由などひとつしかないと確信したのか、リリーは前のめりになってトーマスに詰め寄っている。
しかし必死な様子で今にもすがりついてきそうなリリーを前にしても、トーマスは眉ひとつ動かさない。
期待に瞳を輝かせるリリーに穏やかな笑みを向けたまま、トーマスは静かに続けた。
「申し訳ありません。
私から詳しい事情までは申し上げられないのですが、リリー様をお城までお連れするようにとのことで…
突然で大変恐縮なのですが、お迎えに参りました」
「そう、なのですね…」
「お仕事中にもかかわらず、大変失礼致しました。
リリー様のお仕事が終わるまで、お店の前で待たせて頂いてもよろしいでしょうか?」
「えっと…は、はい!」
詳しい事情は話せない、という理由はわからないけれど、やはりイヤリングのことしか思い当たらない。
見つかったということなら、わざわざ迎えに来てくれたということだろうか。
ただの一般人である自分に対して、なんて親切なんだろうとリリーが感動すら覚えていた時だった。
城の関係者が自分に用があると訪ねて来る理由などひとつしかないと確信したのか、リリーは前のめりになってトーマスに詰め寄っている。
しかし必死な様子で今にもすがりついてきそうなリリーを前にしても、トーマスは眉ひとつ動かさない。
期待に瞳を輝かせるリリーに穏やかな笑みを向けたまま、トーマスは静かに続けた。
「申し訳ありません。
私から詳しい事情までは申し上げられないのですが、リリー様をお城までお連れするようにとのことで…
突然で大変恐縮なのですが、お迎えに参りました」
「そう、なのですね…」
「お仕事中にもかかわらず、大変失礼致しました。
リリー様のお仕事が終わるまで、お店の前で待たせて頂いてもよろしいでしょうか?」
「えっと…は、はい!」
詳しい事情は話せない、という理由はわからないけれど、やはりイヤリングのことしか思い当たらない。
見つかったということなら、わざわざ迎えに来てくれたということだろうか。
ただの一般人である自分に対して、なんて親切なんだろうとリリーが感動すら覚えていた時だった。