腹黒王子と秘密の契約
「それで?アランがどうかしたの?」

話の先を促すクレアに、驚きで言葉を失くしていたリリーはハッと我に返る。

「うん、それがね。
アランてば今日もお店に来たんだけど、そのお客さんのことで心配して迎えに来てくれたみたいだったんだ。
ついでだからとか言ってたけど、なんかアランて面倒見がいいっていうか過保護だよね」

「過保護っていうか…イメージはリリーを護る騎士ってカンジかしら?」

「え、なにそれ」

「だって、アランてリリーに変な虫がつかないように常に目を光らせてるでしょう?
お姫様を守る騎士みたいってこと。
学園では王子様なんて騒がれてるけど、わたしからすれば本物の王子様はきっと、もっと紳士で女性に優しくて、あんな冷たくないし無愛想でもないもの」

クレアの例えを聞いたリリーは、絵本に出てくるようなお姫様を守る強くてかっこいい騎士とアランを重ねてみた。

そう言われれば、アランは王子様というよりは確かに騎士のイメージの方が合っているかもしれない、と勝手に妄想を膨らませる。

自分がお姫様というのは少し無理がある気がするけれど、アランはピッタリだ。
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