腹黒王子と秘密の契約
口を挟む隙もないほどに早口で喋り続けると、クレアはそのドレスをリリーの身体に合わせてみる。

「やっぱり、絶対これがいいと思うわ!
リリーはどう思う?」

「う、うん。本当にびっくりするくらい、すごく素敵…」

「でしょう!?
じゃあリリーはこのドレスで決まりね!
あとは靴は、リリーって普段ヒールは履かないけど、リリーは背も小さいし、これくらいのヒールのがバランスがいいと思うわ」

「わ、そんな高いの履いたことないよ…」

「大丈夫よ、慣れちゃえば。
この靴も素敵でしょう?」

嬉しそうなクレアからキラキラしたシルバーのヒール靴も手渡されたリリーは、そこでやっとよくわからないこの展開に疑問を投げかけることができた。

「うん、本当に本当に素敵なんだけど…
わたしのドレスってどういうこと?」

「え?」

「話がまったく読めないんだけど…」

二人で数秒黙って見つめ合った後、クレアは「ああ!」と大きな声を上げると笑い出す。

リリーはそんなクレアを不思議そうに見つめていた。

「ごめん、ごめん。
つい楽しくなって、興奮しちゃったの。
説明してなかったっけ」
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