腹黒王子と秘密の契約
だからといって、クレアとの関係がこれから変わってしまうこともない。

いたって普通の一般家庭で育ってきたリリーにとって、クレアがどれほどお金持ちの家の生まれだとしても、大切な友達であるということは変わらないのだ。

今回のように部屋をドレスで溢れさせるようなことに驚かされるのも、はっきり言っていつものことというか慣れっこだった。

「それで話はここからが本題なの。
そのパーティーにね、リリーも一緒に行かないかなって思って。
だってせっかくのパーティーだもの。
リリーと一緒だったら、きっともっと楽しいわ!」

「え…一緒にって…
わたしもお城のパーティーに行くってこと!?
で、でも、わたしは招待されてないのに…」

「わたしに招待状があるから大丈夫よ!
お祖母様もリリーと一緒に行ったほうが楽しめるわよって言っていたし」

「そうなんだ…」

「ね!一緒に行きましょう!?
だからリリーのドレスを選びたくて、こんなに運び込んじゃったんだもの」

少しはやり過ぎたと思っているのか、クレアはペロッと舌を出す。

ベッドの上にまでバッグなどが散乱していて、今夜はここで眠れるのかも怪しい状態だ。
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