腹黒王子と秘密の契約
去年のワイン祭では、リリーはクレアと共に王都の大通りに設置されたワイン街道へと繰り出していた。

そこで勧められるままにたくさんのワインをテイスティングしたリリーは、案の定まだ早い時間から酔い潰れてしまったのだ。

フラフラになったリリーをアパルトマンの部屋に運んでくれたのは、クレアが緊急事態と言って呼び出したアランだった。

次の日、目覚めたリリーはほとんど覚えていなかったけれど、アランにこっぴどく怒られている。

せっかくのお祭り時に迷惑をかけてしまったことを、リリーは猛烈に反省したことを思い出していた。

「確かに、今年はどうしようかなって思ってたんだ。
去年みたいな失敗はしたくないし…」

「あぁ…去年のことはわたしも悪かったのよ。
わたしと同じペースで飲ませちゃったから」

「クレアもアランに怒られたんだよね。
ごめんね」

「そんなこと気にしないで！
せっかく年に1度のお祭りなのに、アランはリリーのことになると本当に心配性なんだもの。
だから、今年はお城のパーティーで優雅に過ごすのもいいでしょう？」

「ね？」と嬉しそうなクレアを見ていると、リリーもなんだかウキウキした気分になってくる。
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