腹黒王子と秘密の契約
「行こうかな…」

お城のパーティーに行けば、クリフォード王子に会えるかもしれない。

クレアからそう言われた途端、行ってみたいと思う気持ちがどんどん膨らみ始める。

そんな考えをクレアに見透かされてしまうような気がして、恥ずかしくなったリリーは少し俯いたまま返事をした。

しかし、クレアは全く気にしていなさそうに手を合わせて喜んでくれる。

「本当!?嬉しい!!
リリーが一緒なら、きっと楽しいパーティーになるもの」

「うん。でも、ドレスとか靴とか、私の分まで用意してもらっていいの?」

「やだ、リリーったら。
もうこんなに用意しちゃったんだもの。
着てくれないほうがガッカリしちゃうわ」

「…じゃあ、ありがたく着させてもらおうかな」

リリーが気を使わないように、ワザと悲しそうにそんなことを言ってくれるクレアの優しさに、リリーの心は温まる。

「ドレスアップはわたしに任せてね!
パーティーで素敵な紳士に求婚されちゃうくらい、とびきり綺麗にしてあげるから!」

「ふふふ。ありがとう」

「そうと決まれば、さっきの続きね。
今のわたしはリリー専属のスタイリストよ!」
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