腹黒王子と秘密の契約
自信なげなリリーを、クレアは恥ずかしくなるほど褒めちぎってくれた。

そんなクレアも抜群のスタイルがより引き立つ、スレンダーで色鮮やかなグリーンのドレス姿がとてもセクシーだ。

デザイナーを目指す現役モデルというだけあって、ため息が出るほど洗練されたオーラにリリーも見惚れてしまう。

「クレアもすごい素敵だよ。
なんだかドキドキしちゃうくらい」

「うふふ、ありがとう!
お互いを褒めあったところで、そろそろ出発ね」





アパルトマンの前に停まっていたのは、かなりの存在感を放つ黒塗りの高級車だった。

立派なスーツ姿の運転手らしき人物が待機している光景に、リリーはなんだかそれだけで怖気づいてしまう。

「現実は、カボチャの馬車じゃないんだね…」

「え?何か言った?」

「な、なんでもない」

おかしなひとり言を言って、少しでも緊張を解そうとしてみる。

恭しくドアを開けてくれる運転手にお礼を言ってクレアとリリーが乗り込むと、車はゆっくりと動き出した。

祭りで賑わう王都の街並みを走り抜け、車は今、まっすぐノルディア城へと向かい始めた。
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