腹黒王子と秘密の契約
「お祖母様！」

「あら、クレア。今、着いたところ？」

「ええ、リリーも一緒よ」

リリーは緊張気味にクレアの隣に並ぶと、できるだけ丁寧に挨拶をする。

「お久しぶりです、シルヴィア様。
今日は素敵なドレスをありがとうございます」

「まぁ、リリー！
こちらこそ、私のドレスを着てくれてありがとう。
本当にとっても素敵よ、リリーのイメージにぴったりだわ」

クレアの祖母のシルヴィアは、リリーの姿を見て嬉しそうに目を細めている。

もう六十代のはずだけれど、若々しく気品のある美しさはいつまでも衰えない。

彼女の名前、シルヴィア・ローズからつけたファッションブランド『ROSE』は、女性なら誰でも憧れるようなドレスコレクションがたくさん揃っている。

「ROSEのドレスを着れるなんて、それだけで一生の思い出になります。
クレアが選んでくれたんです」

「うふふ、嬉しいわ。
クレアとも仲良くしてくれてありがとう。
今日は楽しみましょうね」

「はい。シルヴィア様も」

好きなことを仕事にして成功を収め、自信に満ちて輝いているシルヴィアは、リリーにとって憧れの女性だった。
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