腹黒王子と秘密の契約
リリーとクレアもワインを受け取り、そのままシルヴィアとの会話を楽しんでいると、大広間の前方にある壇上にパーティーの出席者の視線が集中する。

リリー達もつられるようにそちらを見ると、パーティーの司会者が進行を始めたらしい。

「陛下のご挨拶があるのね」

「えっ」

シルヴィアの言葉に、リリーは目を見開いて驚く。

王室主催のパーティーに王家が出席するのは当然かもしれないけれど、こんなにも間近で国王の姿を拝謁できるとは思っていなかった。

リリーが壇上を見つめていると、やはりそこに登場したのは、堂々とした風格を漂わせるノルディア王国のニコラス国王だ。


「皆様、今宵は我がノルディア城へようこそお越しくださいました。
今年もまた皆様をお招きできたことを大変嬉しく思います」


威厳のあるよく通る低い声に、この場所にいる全ての者が耳を傾けている。


「___それでは、ノルディア王国各地から集結した、自慢のワインをお楽しみください!」


最後にそう締めくくると、ニコラス国王はグラスを掲げて乾杯の音頭をとった。
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