腹黒王子と秘密の契約
「リリー、紹介するわね。
彼女はレイチェル、わたしのモデル仲間なの」

「はじめまして。リリー・キャロルです」

「はじめまして、リリー。そのドレス、あなたによく似合ってるわ、すごく素敵」

「ありがとうございます。レイチェルさんも、とっても綺麗です」

クレアと同じモデルをしているというだけあって、レイチェルもスタイルのいい目を見張るような美人だった。

緩やかなウェーブのかかった明るいブラウンの髪をかきあげる仕草も、金色にも見える琥珀色の瞳も、豊かな胸元が際立つ真っ赤なドレスも、その全てから色気を放っている。

「クレア、今お父様とあなたのお祖母様が一緒にいるの。
ちょうど、クレアにも会いたいって話していたところなのよ」

「じゃあ、ご挨拶に行かないとかしら」

「でも、きっとお父様のことだから、またビジネスの話だわ」

「あら、仕事の依頼なら大歓迎よ」

クレアとレイチェルの話をそのまま横で聞いていたリリーは、邪魔にならないようにと黙っている。

会話の内容から、レイチェルの父親は老舗高級百貨店や高級ホテルを経営する資産家で、クレアの祖母、シルヴィアとも一緒に仕事をしているらしい。
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