腹黒王子と秘密の契約
吹き抜ける夜風が、アルコールで熱くなった身体を冷やしていく。

「クレア心配してるかな…
でも、なんだか…眠くなってきちゃった…」

庭園を埋め尽くすほどの薔薇の華やかな香りに包まれていると、ずっと張りつめていた気持ちが安らいで、リリーは急な眠気に襲われていた。

「もう…戻らないと…」

言葉とは裏腹に、すでに瞼は閉じかけている。

睡魔に誘われるようにとうとう瞳を閉じてしまったリリーは、深い眠りの世界へと落ちていくのだった。









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