腹黒王子と秘密の契約
「あ…」
それは薔薇の庭園で脱いだリリーのヒール履だった。
よく見ると、靴ずれで赤くなった足の手当てもされている。
「まだ痛むかもしれないが、大丈夫か?」
「は、はい。手当てまでしていただくなんて…本当にご迷惑をおかけしてすみませんっ…
こんな素敵な靴、本当は履き慣れなくて…恥ずかしいのですが…」
クリフォードの大きな手と触れ合っている足が、痛みとは別の熱を持っているような気がした。
靴を履かせ終え、そのままの体勢で下から見上げるようにクリフォードはリリーと視線を合わせる。
「謝ることじゃないし、気にしなくていい。
別に恥ずかしいことでもなんでもないだろ?
待ってろ、今ちゃんと家まで送り届けるから」
そう言って立ち上がると、リリーの頭にポンと手を置く。
優しい手の感触と、うっとりするような柔らかい微笑みにリリーが見惚れていることを気にもせず、クリフォードはタキシードの内ポケットから取り出した携帯電話で誰かと話しはじめた。
「あぁ、目が覚めたよ。
車の準備はできてるか?…え?
そうか、わかった」
誰と話しているのだろうか、とリリーが考えていると、通話はすぐに終わったらしい。
それは薔薇の庭園で脱いだリリーのヒール履だった。
よく見ると、靴ずれで赤くなった足の手当てもされている。
「まだ痛むかもしれないが、大丈夫か?」
「は、はい。手当てまでしていただくなんて…本当にご迷惑をおかけしてすみませんっ…
こんな素敵な靴、本当は履き慣れなくて…恥ずかしいのですが…」
クリフォードの大きな手と触れ合っている足が、痛みとは別の熱を持っているような気がした。
靴を履かせ終え、そのままの体勢で下から見上げるようにクリフォードはリリーと視線を合わせる。
「謝ることじゃないし、気にしなくていい。
別に恥ずかしいことでもなんでもないだろ?
待ってろ、今ちゃんと家まで送り届けるから」
そう言って立ち上がると、リリーの頭にポンと手を置く。
優しい手の感触と、うっとりするような柔らかい微笑みにリリーが見惚れていることを気にもせず、クリフォードはタキシードの内ポケットから取り出した携帯電話で誰かと話しはじめた。
「あぁ、目が覚めたよ。
車の準備はできてるか?…え?
そうか、わかった」
誰と話しているのだろうか、とリリーが考えていると、通話はすぐに終わったらしい。