腹黒王子と秘密の契約
執事のトーマスの後に続いて、アランはさっさと外へ出ていってしまった。

クレアと残されたリリーは、不安を滲ませたような顔で俯く。

「またこんなに迷惑かけちゃって、アランももう呆れて許してくれないかな…」

「リリー…」

肩を落として落ち込むリリーを気遣うように、クレアはリリーの両手を包み込んで優しく握る。

「アランも、ただ怒ってるわけじゃないのよ。
だって本当に心配してたもの…」

「うん…わかってる。
アランにはもう一度謝らないとね。
クレアもごめんなさい。あと…ありがとう」

「うふふ。私はリリーが無事に見つかっただけでいいの!
さ!あんまり待たせると、またアランが怒り出しちゃうわ。帰りましょ!」

「ふふ。そうだね」





外に出ると、扉から続く通路の脇に立ち並ぶ石柱に、アランが腕を組み寄りかかっていた。

そっぽを向いてかなり不機嫌そうに見えるけれど、しっかり待っていてくれたようだ。

二人の姿を確認して歩き出したその後ろ姿を見て、リリーとクレアは顔を見合わせてこっそりと笑い合った。
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