腹黒王子と秘密の契約
トーマスに見送られながら、リリー達を乗せた車はノルディア城を後にした。
つい数時間前まで大勢の出席者や報道陣で溢れていた城も、今は月の光に青白く照らされ、静寂に包まれている。
小さくなっていくノルディア城を、リリーは車の窓から眺めていた。
緊張続きでとても疲れたけれど、おそらく一生に一度になる経験ができた。
憧れの人にも会うことができた。
クリフォード王子はやはり思っていたとおりの素敵な王子様で、そのことが嬉しかった。
きっと、もう二度と会うことはないけれど、絶対に忘れることはないだろう。
思い出すだけでも胸がいっぱいになるような、幸せな気持ちになれる。
ノルディア城が完全に見えなくなっても、リリーは今夜の出来事をかみしめるように、そっと目を閉じていた。
「あの…アラン。
探してくれてありがとう。
あと、また心配かけてごめんなさい…」
車が走り出してしばらくしても、隣に座っているアランは窓の外の流れる景色でも見ているのか、黙り込んだままだった。
リリーが改まって声を掛けてみても、気だるそうに肘をついたまま、こちらを見ようともしない。
リリーの隣にいるクレアも、心配そうに様子を窺っている。
つい数時間前まで大勢の出席者や報道陣で溢れていた城も、今は月の光に青白く照らされ、静寂に包まれている。
小さくなっていくノルディア城を、リリーは車の窓から眺めていた。
緊張続きでとても疲れたけれど、おそらく一生に一度になる経験ができた。
憧れの人にも会うことができた。
クリフォード王子はやはり思っていたとおりの素敵な王子様で、そのことが嬉しかった。
きっと、もう二度と会うことはないけれど、絶対に忘れることはないだろう。
思い出すだけでも胸がいっぱいになるような、幸せな気持ちになれる。
ノルディア城が完全に見えなくなっても、リリーは今夜の出来事をかみしめるように、そっと目を閉じていた。
「あの…アラン。
探してくれてありがとう。
あと、また心配かけてごめんなさい…」
車が走り出してしばらくしても、隣に座っているアランは窓の外の流れる景色でも見ているのか、黙り込んだままだった。
リリーが改まって声を掛けてみても、気だるそうに肘をついたまま、こちらを見ようともしない。
リリーの隣にいるクレアも、心配そうに様子を窺っている。