腹黒王子と秘密の契約
不服そうに視線だけ俯けて、アランはいつもより小さい声で抗議する。

「具合悪かったんだろ?
まぁ…はっきり言ってまた飲み過ぎたお前が悪いけど、慣れない場所で緊張すれば、いつもより酔いも回るだろ。
もう大丈夫なのか?」

「う、うん…
今はもう、平気」

さすが鋭いアランには、パーティー中のリリーの様子までわかってしまうらしい。

リリーは素直に認めると、どんなに迷惑をかけても心配して、いつも助けてくれるアランの顔を見つめてみる。

やはり優しくて頼りになる存在だと、また再認識してしまった。

「あら、なんだ怒ってたんじゃないの?
いつまでも恐い顔して目も合わせないから、てっきりまだ機嫌損ねてるのかと思ったわよ。
ねぇ、リリー?」

「うん、でもよかった…
嫌われちゃったかと思ったから…」

クレアは紛らわしいと文句を言いつつも、緊張が解けてほっとしているリリーと顔を見合わせて笑っている。

「…バカ。そんなわけないだろ」

「アラン!
レディに向かって、バカとかお前とか…
いつもいつも、その口の悪さどうにかならないの!?」

「うるせーな。
レディなんて恥ずかしくなるようなこと言うなよ、お前は」
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