腹黒王子と秘密の契約
クリフォードの言葉に短く答えると、ユアンは長いまつ毛で縁取られた紫の瞳をかげらせる。
「…昨日は大変失礼しました。
その、お待たせしていたにもかかわらず…」
そこまで言うと、言葉を探すように黙り込んでしまう。
食事中の手も止めて固まっているユアンを、クリフォードも静かに眺めていた。
言葉は悪いかもしれないが、ユアンに失踪癖があることは知っている。
昨夜もノルディア城に到着し、予定されていた面談に体調不良という名目で現れないユアンをギルト王国の大臣が必死で探し回っていたことにも、クリフォードは気づいていた。
不測の事態でギルト王国の国王に即位した時、この青年はまだ弱冠十三歳。
それから三年が経った今も、その立場に向き合えていない。
それがクリフォードのユアンへの印象だった。
「…ギルト王国からの長旅でお疲れのところ、無理をさせてしまったのはこちらです。
気になさらないでください。
今日はノルディアの王都で歓迎パレードを予定していますが、大丈夫ですか?」
「はい…もちろんです。
温かい歓迎、心から感謝します」
ユアンは形式的なお礼の言葉を述べるけれど、笑顔は硬くぎこちないままだ。
「…昨日は大変失礼しました。
その、お待たせしていたにもかかわらず…」
そこまで言うと、言葉を探すように黙り込んでしまう。
食事中の手も止めて固まっているユアンを、クリフォードも静かに眺めていた。
言葉は悪いかもしれないが、ユアンに失踪癖があることは知っている。
昨夜もノルディア城に到着し、予定されていた面談に体調不良という名目で現れないユアンをギルト王国の大臣が必死で探し回っていたことにも、クリフォードは気づいていた。
不測の事態でギルト王国の国王に即位した時、この青年はまだ弱冠十三歳。
それから三年が経った今も、その立場に向き合えていない。
それがクリフォードのユアンへの印象だった。
「…ギルト王国からの長旅でお疲れのところ、無理をさせてしまったのはこちらです。
気になさらないでください。
今日はノルディアの王都で歓迎パレードを予定していますが、大丈夫ですか?」
「はい…もちろんです。
温かい歓迎、心から感謝します」
ユアンは形式的なお礼の言葉を述べるけれど、笑顔は硬くぎこちないままだ。