腹黒王子と秘密の契約
「クレア、いってきます…」

リリーは扉に向かって小さく呟くと、音を立てないようにそっと玄関の扉を閉めた。

外に出ると、行き交う人の姿はまだほとんどない。

きりっとした澄んだ空気が肌を冷やし、空は抜けるような晴天だった。

「良い天気…」

秋晴れの高い空を見上げながら、リリーはぐっと伸びをすると息を深く吸い込んだ。

「よし!」

誰に言うわけでもなく自分自身に気合いを入れると、リリーはひとりノルディア城へと歩き出した。





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