武道女子と冷淡社長の嘘結婚
「すいません、あの、」
ドアを開けると、すぐ坂北さんが玄関まで来てくれた。
「あ、あの!莉加様!ちょっと来てください」
「あ、え……!?」
リビングでは、新聞を読んでいた黛さん。
「…忘れ物?」
「ああ……はい」
「今日の朝食、まあまあだな」
新聞ビリビリに破りたくなったけど、
坂北さんが耳打ちしてくれた。
“いつもなにも言わないんです。でも、まあまあなんて、誉めなれていない直様が珍しすぎます!”
「……お仕事、頑張ってください」
「……」
また無視ですか。
でも、
今だけは、許してあげます。