紙飛行機~ラブレターの想い~


呼べない。
私なんかが、立ち止まらせることなんてできっこない。

ギュッと、爪痕が残るくらい強く掌を握りしめた。
痛い。この痛みが、だんだんと心臓の元へと舞い込んでくる。

雨の音がより一層強くなったように聞こえて、反射的に窓の外を見た。

大粒の雨が降っている外は、寒そうだった。


「帰ろうかな」


虚しく響いた独り言は、雨の透明さを引き立てただけだった。


< 162 / 349 >

この作品をシェア

pagetop