おいてけぼりティーンネイジャー
しかし、さすがに、中間テストの時に目の前で堂々と私のノートを縮小コピーしまくってそのままカンニングペーパーとして持ち込もうとしているのは見逃せなかった。

「ちょっと……それはさすがにあかんよ。」
せめて、自分でまとまめたカンニングペーパーを作ってほしい。

それまで言いなりだった私に窘められたことが、よっぽど気に入らなかったらしい。
そこから、今まで曲がりなりにも一緒にいた子達の態度がガラッと変わった。
しかも、自分たちが底辺で、私が学年トップの成績だったことも気に入らないらしい。

……しょうもないなあ。
てか、当たり前だろう。
彼女たちは一切勉強してないんだから。

あまりにも理不尽な理由でハブられても、私は落ち込むこともなく、淡々とマイペースで日々を送っていた。

もともと独りで図書室に行ったりしてたので、実はグループから弾かれても、あまり生活に変化はなかった。
むしろ、愛想笑いや、ノートを写させてあげる時間が必要なくなったので気楽に感じていた。

女子にハブられると、今度は男子にチヤホヤされ始めた。
でも、まだ精神的に未熟な男子とはまともな話もできない。

結局、遠巻きに眺められるだけの存在として祭り上げられたようだ。
私、そんなに難しい女なのかな。
……普通に、読んだ本や、音楽(但しクラッシック限定)の感想とかを分かち合える程度でいいんだけど。


梅雨に入る前ぐらいだろうか。
授業でペアを組むとか、グループを作るとか、ちょっとめんどくさい指示をされた時に、私と同じように独りでポツンといる女子に気づいた。
残り者同士でペアを組んでるうちに仲良くなった。

彼女の名前は、竹原由未ちゃん。
なんと、あの、竹原先輩の妹さんだった。

由未ちゃんは、私とは違って、別に誰かの反感を買って仲間外れにされたわけではなかった。
……お兄さんの竹原先輩が学内で有名過ぎて、入学式からずーっと休み時間のたびに先輩がたが由未ちゃんを取り囲んでて、やっと周囲が落ち着いた時にはクラスのグルーピングが終わってしまってたらしい。

マイペースな子、なのかな。
しかも、内弁慶らしく、自分から既に出来上がってるグループに入って行けなかったそうだ。
……かわいい。
お兄さんと全然違うんだな。


この兄妹は、なかなか興味深かった。
お兄さんは今まで私が見てきたどの女性に対するのよりも、優しいとろけそうな瞳で由未ちゃんを見ていた。
対して由未ちゃんは、表面的には文句を言ったり反発したりしていたが、やはりお兄さんに全幅の信頼と依存をしているようだ。

お兄さんの心一つで、近親相姦一直線じゃないか?

もしかして、お兄さんの漁色ぶりって……歯止めをかけてるのかな。

勘ぐりすぎ?
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