双姫 Ⅰ
今日も早く目が覚め、出かける準備をする。
『…今日は私服でいっか。』
一応、男装をして。
ラフな格好をして母さんが作ってくれた
お弁当と鞄を持って家を出る。
紘にぃから「バイクで行け」って言われるけど
私は歩くのが割と好き。
人ごみは嫌いだけどね。
早足で歩き甘い香りのする店に入った。
「いらっしゃいませ~!」
奥から物静かそうな女の人が出て来た。
「ゆっくり見て下さいね。
その方が花達も喜びます。」
そう私が入ったのは花屋。
そしていつも買う花は決まってる。
「いえ、今日もカサブランカで。」
「ふふ…今日も即決ですね?
では、包みますのでお待ち下さいね。」
「お願いします。」
女の人はカサブランカを持ち
奥へ消えて行った。
数分後、
綺麗に包装された花束を持って戻って来た。
『ありがとうございます。これ代金です。』
「ありがとうございました~!」
私は花束を持って店を出た。
そして、そのまま街を歩く。
歩いているとチラチラと視線を感じた。
それもその筈、
フード被ってる男が花束持って
街を歩いているんだもん。
まぁ、かなり不自然よね。
でも、気にせず足を進めた。