双姫 Ⅰ
街を離れると
目の前に広がるのは広大な草原。
そこに私の「居場所」がある。
『……ただいま、蒼空(しえる)。』
ポツンとある墓石に声をかける。
『昨日は来れなくてごめん。
前、話した『双覇』達と一緒に居てね……。』
話し続けながら
カサブランカを花瓶に生ける。
『蒼空……私を恨んでる…??
父さんや紘にぃの力を借りれば
アイツらを見つけるなんて簡単な事なのに。
そうしない私は弱虫なのかな。』
答えてくれないと分かっていても
聞かずにはいられない事が次々出て来る。
『…最近、夢を見るの。
小さい私と蒼空が居て、
蒼空が血を流して倒れてる。
それを近くて私が見ていてね?
そしたら小さい私が私を見て
『お前のせいだ』って呟くの。
いつもその繰り返し。』
…蒼空、約束は絶対に守るから。
でも、少しだけ時間を頂戴。