双姫 Ⅰ
紘にぃは知ってたんだ。
邦ヶ丘高校に東条の下っ端が居る事を。
私が父さんや紘にぃの力を借りず、
自分だけで情報を集めている事を
知ってる紘にぃは敢えてそれを話さなかった。
私が望んでいないから。
でも、邪魔しろなんて言ってないよ。
『通って正解だったなぁ?』
口に手を当て、上がる口角を抑える。
周りから見れば
恐怖以外のなんでもないからね(笑)
それにしても一気に情報が手に入った。
しかも重要なモノばかり。
あの時、
助けに行って良かったなと心底思う。
『東条 魁。首を洗って待ってなよ…??』
いつの間に日が落ちたんだろう。
辺りは暗く、その闇に私は迷わず突き進んだ。