双姫 Ⅰ
ガララッ!!
教室の扉を開けると、
一斉に生徒達の視線が刺さる。
『ハァハァ……ハァ…ゴホッ…………。』
あー喉痛い。
こんな全力疾走したのいつぶりよ。
「蒼翔!?」
聞き覚えのある声がして顔を上げると
『双覇』が私を見ていた。
『……あー…おはよ……?』
なんて言えば良いのか分からなくて
出た言葉が『おはよう』だった。
てか、昼じゃん!はっず!!
「蒼翔〜〜!
遅いよぉ!しかももうお昼だよ!!」
突っ込まないでよ、燐。
只でさえ恥ずかしくて死にそうなのに。
「それにしても遅かったな。」
『玲…悪ぃ。今迄寝てた。』
「どれだけ寝てたんですか。
寝過ぎも余り良くないそうですよ?」
流石、李樹。言う事真面目過ぎてヤダ。
『約束通り来たんだから良いだろ…?』
「それは良いとして。
お前、手ぶらで来たのかぁ?」
愁斗に言われてバッ!!っと手を見ると
何も持ってない事に気付く。