双姫 Ⅰ
『双覇』の倉庫に
倒れた五人と立っている一人の男。
と言っても私は女だけど。
『ハァ…ハァハァ……………ッ…!』
私が見下ろしているのは
さっきまで一緒に楽しんで
笑って
食べて
冗談言って
楽しくて楽しくて
楽しい時間を一緒に過ごしてた。
私の大切なトモダチ。
『玲?』
『燐?』
『李樹?』
『愁斗?』
『…類?』
手にはベットリと血がついてる。
私が傷付けた。
私が自分の手で。
「蒼翔さん!?」
後ろから声を掛けられ振り向く。
『………疾風?』
「蒼翔さん…?これ貴女がやったんですか!?」
『…あぁ……そうだよ。』
「なんで!なんでこんな事!!」
疾風が怒り任せに私の胸倉を掴む。
その瞬間、フードが取れた。
でも、今の私にはどうでも良い事だ。
「…ッ!?」
でも、その手は直ぐに下ろされた。
『……?』
殴られると思っていた私は
不思議に思って疾風を見上げた。
「なんっつー顔してんっすかッ…!!」
そこには
悲しそうな表情をしている疾風が居た。