双姫 Ⅰ


『…『蛇蝎』が動き始めた。
初めに『神龍』の下っ端に手を出したらしい。
私をあぶり出すつもりだと思う。』


「『蛇蝎』が!?」


『いずれ『双覇』も狙われる。
私と居るとそれ以上に危険を招く。』


「だからって…!」


『私は『双姫』として
奴らを引きつけ、混乱させる。

そうすればお前達に影響は無い。

疾風、この事も秘密にしてくれ。

私にとってはチャンスだから。

もし…『双覇』に異変が起きたら
学校の理事長を頼ると良い。』


「蒼翔さん!!」


『…皆を頼む。』


疾風に皆を頼み、私は倉庫から飛び出す。


外はどしゃ降りの雨。
外灯は少なく、辺りは真っ暗。

まるで私の心境を表しているようだ。


『アハハッ……ハハハハ………ッ…!!』


でも、丁度良かった。
私の頬を伝う涙を雨が隠してくれたから。


皆、ごめん。


傷付けてごめん…。


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