双姫 Ⅰ
「どうしてあお…じゃなかった。
朱音は『蛇蝎』を憎んでるんですか?
それも殺してしまう前にって……。」
それは俺らも聞きたかった事だ。
「…これは朱音の過去に関係があるんだ。」
「過去…?どんな?」
「それは…「待って下さい。」」
理事長の言葉を類が遮った。
「朱音の過去を貴方が喋らないで下さい。
俺は他人に自分の過去を話されるのは嫌です。
それに聞くなら朱音の口から聞きたい。」
「…そうか、朱音の過去は直接聞け。
だが、居場所は誰も知らない。
どうするつもりだ?」
「心当たりがいくつかあります。
直紀さん、光喜さんにも
さっきの話聞かせて上げて下さいね。
あの人心配性なんですから。」
「あぁ、分かってる。お前ら気を付けろよ?
俺と光喜も動けるようにしておく。
それと本当にすまない…。」
「いえ、ありがとうございます。
アイツは必ず止めます。
お前ら今から朱音を探す、行くぞ。」
紘を先頭に理事長室から出て行き、
姿を消した朱音の捜索が始まった。