双姫 Ⅰ
『奈緒珠さーん!あれ?どこだ?』
園の中かと思ったのに見当たらない。
『あれ〜?鍵借りたいのに…。
このままじゃ見つかっちゃうよ!!』
幾ら私でも『神龍』全員で来られたら
ちょっとキツい。いや、ちょっとだけね。
あくまでちょっとだけだから!
園から出て外を見る事にした。
園の外に出ると
預けられた子供か捨てられた子供だろうか。
キャーキャー騒いでちょっとうるさい。
私がさっきまで寝転んでたのは
裏庭だったから静かだったけど
表はやっぱりうるさいな。
それにしても…多いな子供。
この中のどれだけの
子供が捨てられたんだろう。
捨てられた子供は親を憎んでいるだろうか。
私は…今は憎んではいない。
だって会った事もない人の事
なんてどうでも良い。
私には蒼空が居たから。
でも、それを『東条』が奪った。
だから許せないんだ。
アイツが今でも生きているのが。
まだ罪に問われていたら
どれだけ救われただろうか。
『…チッ…ここに来ると余計な事考えるな。』
早くここから立ち去りたくて
子供達から視線を逸らし奈緒珠さんを探した。