双姫 Ⅰ


只でさえ情報途絶えて苛立ってんのに
なんで連れて来ちゃってんのよ…。

まだ私が奴らに
『双姫』だってバレてないのが幸い。

バレてたら関係を持ってるだけで
『双覇』だけじゃない『神龍』も狙われる。

まぁ、『神龍』は心配ないけどさ!


「あお…じゃなかった、朱音?僕らと帰ろ??」


燐…。


「朱音さん。」


李樹…。


「帰ろうぜ!」


馬鹿愁斗…。


「来い、朱音。」


玲…。


「朱音…行こ?」


類…。


類が私に向かって手を差し出す。


でも、


『私に関わらないで。
お前らなんか信じないし、
馴れ合いたくもない。』


アンタ達が私を救いたいと思うように
私も守りたいんだ。


「ほっとけるかよ!絶対お前を見捨てねぇ。

たとえお前が俺らを切り捨てても
必ず闇から救い出してやる!!」


「私達を信じて下さい。」


「朱音!!僕ら友達でしょ!?」


「一人で抱え込んでんじゃねぇーよ!」


「朱音…これ以上闇に染まらないで!!」


闇に染まる…か。


『私はとっくに染まりきってしまったんだよ。』


蒼空を失ったあの日に。


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