双姫 Ⅰ
『おっ前ら、しつけぇー!』
燐が両手を広げて向かって来たから
気絶程度の速さで殴る…が
ヒョイ!
ギリギリで避けられた。
『…チッ……やっぱ少し力入れ……ッ!?』
二発目をかまそうとしたら
目の前に蹲(うずくま)る燐の姿。
「…イテテ……やっぱ治ってないや……。」
苦痛で燐の顔が歪んでいる。
そうだ、だって私が傷付けたんだ。
そんなに早く治る訳が無い。
『あ……り…ん……ごめ…』
この場に居る事が耐え切れなくて
一歩また一歩と後ずさる。
その時、
ガン!
『……うあッ!?』
首に激痛が走った。
薄れていく意識の中
目だけ動かして後ろを見る。
『…る……い………!』
「……ごめんね、朱音。」
その言葉を聞いた瞬間、私は意識を手放した。