双姫 Ⅰ
「俺、お願いしようかな。
いずれ組長になるかもだし…。」
…そっか。
類は『樺沢組』を継がなきゃいけない。
私は会社の方だけを継ぐからな〜。
『後で紘にぃ達に頼もっか!』
「うん、そうする。」
「そろそろ授業始まるから戻れよ~。」
『はーい。
あ!直ちゃん!光ちゃんが変だったよ!?』
「…光樹が?」
『いきなり告られたんだけど!』
「…………はぁ!?」
『冗談だと思うんだけど…。
でも、光ちゃん冗談嫌いじゃん?
私…そんな風に見た事無いから……。
お兄ちゃんみたいって思ってたし。』
「………。」
『直ちゃん?何か知ってるの??』
「いや、考えてみたけど
なんも思いつかねぇな…。」
『…そっか。』
「俺からアイツに聞いてみるから
もう授業戻れ。
『双覇』が留年しても知らねぇぞ?」
「留年嫌だ!皆、行こ!!」
『じゃあね!直ちゃん!!』
私達は教室に向かって走った。
「……これはまた俺のせいか?」
直ちゃんがため息をしたのは誰も知らない。