双姫 Ⅰ
亀裂
『うーん…直ちゃんも分かんないのかぁ…。』
理事長室を出て教室に向かう私達。
「ほっとけば良いんじゃないのぉ~?」
『…そうだね!きっと勘違いしてんだよ!!』
ガララ
「おー朱音、おせぇぞ~?」
・・・・・・。
『…は?』
コイツ今…「朱音」って言った?
いや…いやいや聞き間違いな筈…。
「朱音?何ボーっとしてんだ??」
クラス「…朱音?誰だそれ。」
ザワザワと教室内が騒がしくなる。
後ろで『双覇』も驚いている。
『光ちゃん…どういうつもりだ?』
どうして
蒼翔じゃなくて朱音と言った?
クラス「藤先ー!朱音って誰ですか??」
「あー?神崎はな本当は…ガン!うひょ~!!」
『テメェ…どういうつもりだ!』
光ちゃんに蹴りを入れようとしたが、
避けられて教卓を吹き飛ばしてしまった。
私達のやり取りを『双覇』は黙って見つめ、
生徒は席を立ち、後ろへ避難した。