双姫 Ⅰ


類side


「類…話がある。」


俺は倒れる『光龍』の側に近寄る。


「俺がアイツの正体をバラしたのは
クラスに馴染みやすくする為だった。
上手くいくかどうか賭けだったが成功したな。」


さっきの数学の時間を思い出す。

確かに朱音は関わりを持たなかった
生徒達と短時間で関わった事になる。


「それにしても少し荒療治じゃないのか?」


只でさえ関わりを持つ事を嫌がるし、
触れられるなんて朱音が苦しむだけだ。


「…前に朱音が言った言葉だ。
『苦しむ事なら誰でも出来る』ってな。

これは親父さんの言葉らしい。
この言葉があったから朱音はここまで来れた。

だから、
どんなに苦しくても諦めて欲しくなかった。
人と関わりを持つ事を。」


「朱音の為にしたって言うのか?」


「信じて貰うなら先ずは自分からって言うだろ?
だから、女ってバラした。

本当は『双姫』の事も言おうと思ったが
流石に殺されると思ってな?」


アハハ…と笑う藤先。


「…だろうね。」


確実に殺されると思う。


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