双姫 Ⅰ
直紀side
「なんで職員室に居ねぇんだよ!」
やっぱ放送で呼べば良かったか?
「お?」
なんで屋上に続く階段から降りてくんだ?
「おーい光喜…え?お前…泣いてんのか?」
「泣いてねぇーよッ!!」
…いや、もろ泣いてんじゃん。
「それにその顔どうしたんだ?
屋上で何があったんだよ。」
「……類とケリつけてきた。」
「お前、マヂで朱音の事が……?」
「…クラスの奴らにも
女ってバラして上手く馴染ませた、
類にも朱音の弱点を教えたから
東条とケリつける時なんとかなるだろ…。」
コイツずっと朱音を想ってたんだな。
じゃなきゃここまでしねぇよ。
類に任せて自分は身を引いたのか。
「……お前、カッコいいな。」
「うっせぇよ…。」
きっと、朱音にもその想い届いてる。
お前はどうせ「冗談だ」とか言ったんだろうな?
でも、俺らは知ってる。
お前は冗談も嘘も付かないって事を。
だから、今は素直に泣いとけ。
直紀sideEND