双姫 Ⅰ
私にとって
光ちゃん…。
あれは冗談なんかじゃなかった。
光ちゃんはいつも真っ直ぐな人だったから。
でも…「冗談だ」って言うなんて
冗談言わないのに矛盾してるよ…?
" 俺が冗談嫌いなの知ってるよな?"
『…知ってるよ、光ちゃん。
いつも側に居てくれたんだから。』
ありがとう、嬉しかった…。
『ごめん』なんて言わない。
謝るなんて光ちゃんの気持ちに失礼だから。
『類…。』
「イテテ……ん?
悪いけど喧嘩の理由は話せない。
これは男同士の『約束』だからね。」
『約束』…か。
類も手を出させなくするんだから……。
『じゃあ、保健室行くよ!』
折角ヒビが治ったのにまた青痣作って馬鹿!
「朱音、痛いよ!」
『自業自得でしょ!!』
痛がる類を無理矢理立たせ、保健室に向かった。