双姫 Ⅰ
蛇蝎side
「総長。
あの女は『双覇』と繋がっているようです。」
「『双覇』?『双姫』じゃねぇのかよ。」
一人の男が東条に報告をしている。
「あれから『双姫』も目立たなくなったな。
……どうも臭うな?
それにしても
署から出ても俺の元に戻って来るのは
お前ぐらいだな。錦(にしき)」
「当たり前じゃないですか。
俺にとって総長は憧れなんですから。」
「お前はそういう奴だもんな?
だから、副総長の席を空けといてやった。」
「聞いた時は泣くかと思いましたよ。」
「それは何よりだ。」
「それにしても増えましたね…蛇。」
部屋の至る所に蛇が巻き付いている。
「あぁ、俺のペットだ。可愛いだろう??」
「流石に毒蛇までは買いませんよ…。」
「そこが魅力なんだよ。
じゃあ、暇潰しに『双覇』を潰すか。
最近ガキが調子に乗ってっからな?
その女は姫だろう。 隙を見て、攫え。」
「分かりました。」
錦は東条に頭を下げ部屋を出て行った。
「さぁ、楽しい楽しい時間の始まりだな?」
ニヤリと笑う東条の顔は醜く歪んでいた。
蛇蝎sideEND