双姫 Ⅰ
勧誘
『…俺になんの用だ。』
まだ痛む頭を撫でながら玲を睨む。
「あぁ、率直に言うぞ。
神崎いや、蒼翔。『双覇』に入れ。」
『はぁ?』
コイツ馬鹿?もう一回言う馬鹿なの??
「ねぇねぇ蒼翔!入ろ~??」
『誰が入るか。』
ピキッと空気が凍りついた。
「なんだと…?」
私の言葉に不満があるのか玲が睨んできた。
ぜっんぜん怖くないんですけど?
『俺がクラスに入った時なんつった?
『関わらないでくれ』って言った筈だ。』
「………言った。」
『聞いてたのは類だけか?その耳は飾りか??』
「黙って聞いてれば調子乗りやがって!!」
「止めなさい!愁斗!!」
『俺を、殴りたいか?』
殴りかかろうとしている
愁斗に煽るように言葉をかける。
「離せ李樹!!
コイツ一発ぶん殴らねぇと気がすまねぇー!」
『はぁ?俺がお前ごときに??
笑わせるなよ。』
「「「「「ッ!?」」」」」
『用はそれだけか?
それじゃあ、話は終わりだな。』
硬直する玲達を残して屋上を出ようとすると、
「待てよ!!」
ガシッ!
玲が私の腕を掴んだ。
その瞬間、嫌悪感が私を支配した。