双姫 Ⅰ
お願いだから
「ストレッチャー入ります!」
「輸血の準備を!!」
穏やかだった病院内が慌ただしくなる。
「ここからは立ち入り禁止です!
お待ち下さい!!」
看護師に止められ、
俺らは手術室の前で立ち止まった。
手術中のランプが灯り、待つ事しか出来ない。
「ちくしょ…。
こうなるのを防ぐ為に俺は!!」
「「紘!!!」」
「母さん、親父!」
「朱音が撃たれたって…どういう事!?」
「何があったんだ!!」
「ご家族の方ですか!?
先生は手が離せないので
私からお嬢さんの容態を説明させて頂きます!」
慌てた様子で看護師が手術室から出て来た。
その様子に俺らにも緊張が走る。
「弾丸はお嬢さんの心臓近くで止まっています。
…出血量が多く大変危険な状態です。
輸血を開始していますが、
最悪の状況を覚悟をしておいて下さい…。」
その言葉に声を失った。
朱音のお母さんは泣き崩れ、
お父さんはそれを黙って支えている。
「私の…私のせいで朱音が……!」
真白は責任を感じ、謝っている。
それを黙って俺らは見詰めていた。