双姫 Ⅰ
「ご家族ですか?執刀した柏羅です。」
「お父さん!朱音は!?」
「真白?どうしてお前がここに??」
「朱音は私を庇って撃たれたの!
ねぇ、朱音は?朱音は!?」
庇って…あの子と同じ事をしたのか。
「安心しなさい、手術は成功したよ。」
「生きて…るの?」
「あぁ。」
手術室から朱音が運ばれる。
「朱音ッ!!」
一人、血塗れの男の子が駆け寄った。
「類くん…嬉しそう…良かった、良かったぁ。
お父さん、朱音を助けてくれてありがとうッ!」
「先生、ありがとうごさいます!」
昔、会った事のある神崎さんが頭を下げる。
「ですが…お嬢さんの傷は
身体に大きなダメージを与えました。
目覚めるのは傷が癒えてからでしょう…。
それまで辛抱して待ちましょう。」
「はいッ!」
朱音ちゃん、早く目を覚ましなさい。
君には待ってくれている人が大勢居るよ。
皆が安堵する表情を見て、私も嬉しく思った。