双姫 Ⅰ
「…え?」
『……類、おはよ…。』
握られている手を握り返す。
あれ、力が上手く入んないや。
「朱音ッ!!!」
『グェッ!』
身体を起こされ、
息が詰まる程強く抱き締められる。
『ぐるじぃ〜!!』
「あ、ごめん!本当に……朱音だよね?」
『じゃあ、何に見える?』
起こされた身体をベッドに沈めた。
カチャ…
『…ん?』
右手に何か当たり、視線を移す。
『これって…!』
私の手には割れた仮面が握られていた。
「うん、朱音が懐に入れてた仮面だよ。
白い仮面に当たって弾の軌道が逸れたって。
「もし、それが無かったら
死んでたかもしれない」って先生が言ってた…。」
『蒼空が助けてくれたの…。
「本当は皆と一緒に居たいくせに!」って
怒られちゃった(笑)』
割れた仮面を持ち上げ、組み立てる。
カシャン…
やっぱり駄目かぁ…。
組み立ててもバラバラに崩れた。
「今度何かでくっ付けよう?
蒼空ちゃんにお礼言わないとね…。
「朱音を助けてくれてありがとう」って。」
『……ん…ッ…うん!!』
ありがとう。
蒼空、助けてくれてありがとう…。