双姫 Ⅰ
紘side
家を出て行く朱音を窓から見送る。
「怪我すんなよ…朱音。
全く、バイクで行けば良いのに…。」
カーテンを閉め、俺も身支度をする。
今日からは変装せずに登校する。
勿論、他の四人にもそう言ってある。
学校は大騒ぎになるだろーな。
それはそれで楽しみなんだが…。
またパンダ達に追い掛け回されんのが苦痛。
確かにそこら辺の男より
顔が整ってるのは認めるよ。
それは良んだけど
変装してっ時としてねぇ時の
女の態度が180°変わんだよな。
だから、女は嫌いなんだよ。
逆に実基はサバサバしていて
たまに甘えてくる猫みたいな奴だ。
俺が初めて好きになった女。
実基以外考えられない。
朱音にその事話したら
『じゃあ、実基姉だね!』って言って喜んでた。
それがキッカケで
『神龍』の皆と仲良くなったんだ。
『双覇』も朱音の拠り所になれば良いんだが。
その期待を込めての試験なんだ。
「頼むから期待を裏切るなよ。『双覇』共。」
そう呟いて
内心ハラハラしながら階段を降りた。